前進するために
今日、職場でこんなことが話題になった。
『客として舞台を観に行ってもスタッフ目線で観てしまい演奏や演技に集中出来ない』
この業界にいれば誰でもそんな経験がある。
職業病だ。
例えば、通い慣れた好きなライブハウスの音が行く度に悪くなると悲しくなる。
堪えきれずに通りがかったホールスタッフに要改善点を告げたことがある。
自分としては同業者の親切心もあったのだけれど、オペレーターにしてみれば聴衆の一人の意見など余計なお世話。
改善されることは無かった。
次に行った時に更に不快な音になっていたとしたら…演奏を楽しめるわけが無い。
『代われ。俺がPAする』と叫びたくなるところだけれど、やはり叶うはずも無く…
PAシステムがハウリングのリスクを孕んでいる以上、音量と音質とは両立し難いことも痛い程理解している。
そうは言っても、たとえ好きなミュージシャンがよく出演する店だとしても、こんな調子なら二度とこの店に来るもんか、という気持ちになってしまうのは当然の心理。
或いは、それでも好きなミュージシャンが出ると言うなら改善されるまで付き合うべきなのだろうか。
今夜、坂本麗衣さんのワンマンライブ
「ロードムービー第8章〜Starting Over〜」
が行われた。
「再出発」の思いを込めて“Starting Over”と題された今回のライブは、そのタイトルの通り重要な意味を持つ一夜となった。
彼女がピアノをギターに持ち替えたことは、彼女にとって自他ともに認める大きな『変化』だったけれど、以来、それ以前の楽曲はライブのセットリストから外されていった。
彼女自身にとって、それだけ大きな変化だった。
元より、類稀な作曲の才能を持つ彼女のこと、様々なスタイルを採り入れた魅力的な楽曲を作り続けたけれど、CD収録されていないままの曲達をライブで聴くことが叶わなくなったことが正直寂しくもあった。
今回のライブの前半は、「変化」以後の楽曲で構成された。
ワンマンライブ恒例の新曲も勿論披露され、前進し続ける姿勢にブレが無いことが示された。
そして、「再出発」の意味が語られた。
CDデビュー10周年の区切りを越え、11年目を歩み出すこと、そして、「変化」に対する拘りが解けたということ。
後半は、再出発にあたり、最初期からの重要なサポートプレイヤーであるヴァイオリニストの梶谷裕子さんと、かつて一緒に楽曲を作りジョイントライブも行っていたしらいしりょうこさんをゲストに迎え、「変化」以前の楽曲の数々が演奏された。
自分にとっては、失くした宝物を取り戻したような嬉しさに加え、彼女達が並んで演奏する姿に懐かしさすら感じられた。
けれど、彼女自身が後ろ向きの気持ちで以前の楽曲を演奏したのではないことも十分に理解している。
新たな局面へ踏み出すために過去という足跡を見つめ直した、ということだろう。
自分には「変化」していく彼女に言い出せずにいたことがある。
「音」に対する繊細さを失わないで欲しい、と。
職業病ではなく、彼女の音楽を愛するものとして。
彼女の「ロードムービー」を観続けてきたけれど、過去と現在とを繋ぎ、更に未来を見据えたこの「第8章」を見届けることが叶い感慨もひとしおだ。
彼女の旅は終わらない。
これから彼女がどんな成長を見せるのか。
第9章が待ち遠しい。
『客として舞台を観に行ってもスタッフ目線で観てしまい演奏や演技に集中出来ない』
この業界にいれば誰でもそんな経験がある。
職業病だ。
例えば、通い慣れた好きなライブハウスの音が行く度に悪くなると悲しくなる。
堪えきれずに通りがかったホールスタッフに要改善点を告げたことがある。
自分としては同業者の親切心もあったのだけれど、オペレーターにしてみれば聴衆の一人の意見など余計なお世話。
改善されることは無かった。
次に行った時に更に不快な音になっていたとしたら…演奏を楽しめるわけが無い。
『代われ。俺がPAする』と叫びたくなるところだけれど、やはり叶うはずも無く…
PAシステムがハウリングのリスクを孕んでいる以上、音量と音質とは両立し難いことも痛い程理解している。
そうは言っても、たとえ好きなミュージシャンがよく出演する店だとしても、こんな調子なら二度とこの店に来るもんか、という気持ちになってしまうのは当然の心理。
或いは、それでも好きなミュージシャンが出ると言うなら改善されるまで付き合うべきなのだろうか。
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今夜、坂本麗衣さんのワンマンライブ
「ロードムービー第8章〜Starting Over〜」
が行われた。
「再出発」の思いを込めて“Starting Over”と題された今回のライブは、そのタイトルの通り重要な意味を持つ一夜となった。
彼女がピアノをギターに持ち替えたことは、彼女にとって自他ともに認める大きな『変化』だったけれど、以来、それ以前の楽曲はライブのセットリストから外されていった。
彼女自身にとって、それだけ大きな変化だった。
元より、類稀な作曲の才能を持つ彼女のこと、様々なスタイルを採り入れた魅力的な楽曲を作り続けたけれど、CD収録されていないままの曲達をライブで聴くことが叶わなくなったことが正直寂しくもあった。
今回のライブの前半は、「変化」以後の楽曲で構成された。
ワンマンライブ恒例の新曲も勿論披露され、前進し続ける姿勢にブレが無いことが示された。
そして、「再出発」の意味が語られた。
CDデビュー10周年の区切りを越え、11年目を歩み出すこと、そして、「変化」に対する拘りが解けたということ。
後半は、再出発にあたり、最初期からの重要なサポートプレイヤーであるヴァイオリニストの梶谷裕子さんと、かつて一緒に楽曲を作りジョイントライブも行っていたしらいしりょうこさんをゲストに迎え、「変化」以前の楽曲の数々が演奏された。
自分にとっては、失くした宝物を取り戻したような嬉しさに加え、彼女達が並んで演奏する姿に懐かしさすら感じられた。
けれど、彼女自身が後ろ向きの気持ちで以前の楽曲を演奏したのではないことも十分に理解している。
新たな局面へ踏み出すために過去という足跡を見つめ直した、ということだろう。
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これから彼女がどんな成長を見せるのか。
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